【江戸時代中期・尾形光琳】紙本著色『四季花図』三幅対掛軸「方祝」朱印【安田靫彦極箱】

【江戸時代中期・尾形光琳】紙本著色『四季花図』三幅対掛軸「方祝」朱印【安田靫彦極箱】

皆さん、こんにちは！新規のお客様がふらりと立ち寄ってくださることが多い世田谷代田店です。その後ありがたいことに常連様となって定期的にお越しくださる方々も多く、大変素敵な時間を過ごさせていただいております。買取り査定依頼ご希望のご新規の方をはじめ、飲食店を経営されている方がお店で使う商品用にと買い付けに来てくださったり、リピーターの方も増えていて本当にありがとうございます。

最近では、掛軸を買い取らせていただくことが大変多くなってきましたので、数ある素晴らしい作品の中から、こちらの掛軸を本日も早速皆さんにご紹介させていただきたいと思います。

【尾形光琳・紙本著色『四季花図』三幅対掛軸「方祝」朱印】

作者は、江戸時代前中期の絵師であり、尾形乾山の実兄である「尾形光琳」です。３種類それぞれが、とても味わい深い作品となっております。こちらの掛軸の写真と一緒に、作者についてご紹介させてください。

３０歳と言う若さで多額の遺産を得るものの、享楽的な生活が続いた事や事業の失敗などを理由に破産してしまいます。どうやらその事をきっかけに、４０歳から画家の道一筋と言った感じで、本格的な芸術家としての生活が始まった光琳。

「尾形光琳」と言えば、大和絵風の画風を基調としながら「絵を描ける平面さえあれば領分だ」という考えから、身近な物があっという間にキャンバスになってしまうとか。まさに天性の才能と言いますか、生まれながらにしての芸術肌ですよね。

４０歳からという決して早くはないスタートだったにも関わらず「いつだって、本気であればその道を極める事が出来る」と光琳は言っています。もちろん年齢は関係ないと私も思います。しかし、そう簡単なことでもなく、リスクを背負って飛び込むにはやはり勇気がいりますよね。だからこそ、彼の決意や信念は、それらを簡単に覆すほど本物である証明で、とても逞しく思えました。

そんな光琳が最も凄い点は、水墨画や屏風や蒔絵など、幅広い様々な芸術の分野で遺憾なく才能を発揮されている事です。独自の発想・センスが光る彼のその美的感覚から「光琳模様」という言葉が生まれる程、彼はまさに無二の才能を見せつけました。結果、今日の現代に至るまでに多大な影響を与えているわけです。

近代の芸術家にも絶大なる影響を与えた素晴らしい芸術家というだけあって、今作品も光琳独自の水墨をメインとした「たらし込み」の技法が光る絶品となっております。

陶工・絵師である弟の「尾形乾山」も、そんな兄：「尾形光琳」の才能を認めています。光琳の遊び好きで派手な性格とは正反対の生き方で、書物を愛し、地味な生活を送っていたそうです。兄の私生活がどうであろうと、ずば抜けた芸術的センスは認めざるを得ない程ですから、光琳がどれほど素晴らしいかが安易に想像出来ますね。そんな兄の影響を受けずに、冷静に己の道を進み続けられた乾山もまた、同じ血を受け継いだ才能の持ち主だと感じます。

大胆な構図とは裏腹に、描かれた四季の花の色は淡く優しく、それでいて立体感を感じさせてくれます。色使いだけでなく滲むグラデーションが繊細で、とても鮮やかに表現されています。

掛軸それぞれに「方祝」朱印あり。日本を代表する画家のひとりでありながら、古画や古陶などの芸術世界でも絶大な審美眼を発揮した「安田靫彦」の極め箱が付いた作品です。

▼「尾形光琳」

万治元年１６５８年 京都の呉服商「雁金屋」生まれ

いかがでしたでしょうか。今回もまた素晴らしい作品に出会わせていただきました。移り変わる時代の中で、形あるものが丁寧に大切に受け継がれて、これからも沢山の人たちの日常に彩りを与えてくれますよう、ほくゆう倶楽部では日々このようにご紹介させていただいております。

是非、この感動を味わっていただきたいと思いますので、その目で直接ご覧いただき、お手に取って感動を体感していただきたいです！

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