松尾朝春の木彫《龍燈》
最近入りました珍しい日本の近代彫刻をご紹介します。
松尾朝春(1885-1930)の彩色木彫彫刻《龍燈》(像高約130cm)です。
頭飾りをつけインド風に豊かな胸をもつ少女が、大きく目を見開き火炎宝珠を捧げ持ち一歩前に歩み出たところ。目の前にいる釈迦(あるいはこの像を見る人)に捧げようとしているのでしょうか。
作者は福岡県出身の松尾朝春。高村光雲の高弟である山崎朝雲の門に入り、大正14年「瞑想の悉達(しった)」で帝展特選、昭和4年帝国美術院審査員となるなど活躍しました。
あの三越本店の巨大天女像を作った佐藤朝山玄々(1888-1963)は同門にあたります。
しかし昭和5年46歳の若さで惜しくも亡くなったためか、現在知られている作品はたいへん希少です。
本作は写真でご覧のとおり個性的な顔立ちをした天女像、あるいは西洋中世のマリア様、あるいは現代美術の奈良美智の少女像にも通じるような強い造形です。
こうした傾向は佐藤玄々たち、光雲門下の第3世代とも共通するものです。
二人の時代は明治末から大正、昭和初期にあたり、個性的な作風「日本の表現主義」の時代として近年注目されてきています。
佐藤玄々の個性的な造形(下図2番目、1922年《木花咲耶姫》など)も再評価されてきています。
この松尾朝春の木彫もこれからまた注目されていくのではないでしょうか。
松尾朝春《龍燈》落款
なおこの木彫は現在、須弥山美術が保管しております。
現状は肩部分などをはじめ全体に経年の埃の堆積がありますがほぼ原形のままのうぶな状態です。
ご関心のある方はほくゆう倶楽部へどうぞお問い合わせください。
謝意:
その後さる先生からこの作が
大正七年第12回文部省美術展出品「龍燈」
(福岡県立美術館1984年『福岡県の近代彫刻』展図録モノクロ写真掲載)
と似ているとのご教示を頂きました。
作品名を「救世菩薩」から「龍燈」に変更すると共に、
ご教示頂きました先生に感謝いたします。
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