藤田嗣治の1920年代作品の鑑定
藤田嗣治(1886–1968)は日本でもヨーロッパでも人気の画家です。それに伴って贋作も多く鑑定が難しいものもあります。
パリ時代の戦前1920年代後半は、ヨーロッパに渡り自己の作風を確立し認められた得意絶頂の時期にあたります。以下比較のために年代順に3点の作品の眼とサインの部分をあげてみます。
《綿帽子の子供》水彩デッサン サイン「嗣治 Foujita 1927」 カタログ・レゾネ「27.63」
《若い女性》デッサン サイン「嗣治 Foujita」 カタログ・レゾネ「28.54」
《坐る女》油彩 サイン「巴里/嗣治 Foujita 1929」国立西洋美術館蔵
(カタログ・レゾネとは作家の全作品目録をさし、藤田作品の場合は
Sylvie,Dominique Buisson Leonard-tsuguharu Foujita という全2冊の画集です。上記の番号は最初の2ケタが西暦、次の数字がその年の整理番号になります。)
この3作で最も基準になるのは西洋美術館蔵の油彩です。面相筆による鋭く繊細な線描と、その線描を生かす透明な色彩が存分に活躍しています。
対して1927年の子供の線は、他の作と比べるとやや鋭さに欠けますが、これは鉛筆という素材と、大人の女性と子供という描く対象の違い、またおそらく写生の際に描きなおしながら進めたことが、線の性質の違いを生んでいると思われます。
その中間が1928年のデッサンです。
この違いは鑑定の際に鑑定家により意見が別れる場合が出てきますが、むやみに一人の画家の決まった特徴を紋切り型にあてはめるのでなく、この場合は一人の作家の創作行為の幅の広さと見たほうがよいでしょう。
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